SSブログ

「書く技術・伝える技術」 [日本語]

本の紹介です。
「書く技術・伝える技術  目からウロコのビジネス・ライティング」倉島保美著

この本はビジネスの世界で読み書きされる文章を書く能力の習得を手助けすることを目的としています。
ビジネス文章は、ビジネスにおける生産性を向上させるため、読み手に負担をかけないことが良いと、著者は考えています。この点、著者の想定するビジネスの範疇に入るかどうかは分かりませんが、弁理士が書く文章にも適用されるべき要素が多く含まれています。
著者によれば「読み手に負担をかけない」文章とは次の項目を満たすものです。
[新月]読み手に文章をできるだけ読ませない
[新月]必要な情報が十分に伝わる
[新月]一読して誤解がない
そのような文章を書くための法則は以下の7つです。  
1 まず、何を述べるかを書く
2 全体の構成は、段落単位で検討する
3 段落ごとに冒頭に要約文をおく
4 すでに述べた情報を「つなぎ」に新情報を展開する
5 同じ種類のものは、同じスタイルで表現する
6 一文では一つのポイントだけを述べる
7 誰でも同じ理解になるように表現する
これらの法則は、明細書、意見書を記載する際にも全て当てはまると思います。

詳細は本をお読みいただければと思います。

nice!(2)  コメント(0) 

【発明を実施するための形態】について [明細書の記載]

 特許権の侵害訴訟においては、被告のイ号物件が本発明の技術的範囲に含まれるか否かが争点になることが多々ある。そのような場合、原則として、特許権の技術的範囲は願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない(特許法70条1項)。また、同時に、特許権の技術的範囲は、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする(同2項)とも規定されている。
 つまり、特許明細書を作成するに当たり、出願人は、本発明の技術的範囲を明確に示すだけでなく、第三者から特許権が侵害されることを想定したうえで、侵害品が技術的範囲に含まれるように明細書の記載を行う必要がある。
 明細書中の【発明を実施するための形態】の欄においては、出願人の権利範囲を明確にするための実施形態を記載するのは当然のことながら、それ以外のバリエーションについてもできるだけ押さえておくことが好ましい。つまり、技術的なバリエーションとして、考えられるものや、具体的な言葉の定義として、例えば「円形状の」という文言がクレームに記載されている場合の、「円形状」とは、実質的に円形、略円形であっても、本発明の作用効果が得られることを示すことが好ましい。この部分の記載ぶりが乱暴になると、効果を奏しないものについてまで含むこととなり、無効理由になりかねないので慎重に記載する必要がある。 

<おまけ>
 尚、上述の内容は侵害訴訟を想定した場合の記載に関する議論であり、「リパーゼ事件」のような、審査段階における明細書の記載の話とは別になるので注意が必要である。
「リパーゼ事件」とは・・・
特許請求の範囲に記載した技術的意義が、一義的に明確に理解できない場合や、あるいは一見してその記載が誤記であることが、明細書の発明の詳細な説明に照らして明らかであるなど、特段の事情のある場合に限って、明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することが認められているに過ぎない。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

排気口フィルタ事件(H17.10.27 知財高裁 平成17年(ネ) 10066) [判例]

・「鉤状突起」という記載の解釈
被告製品は面ファスナのフック面に使われる逆J字状のフックを使用しており、これが特許請求の範囲に記載されている「鉤状突起」に該当するか否かということが争点となった。
面ファスナは特許出願前から広く利用されていた。

この事件については、「公知部分除外説」を理解する必要がある。
・公知部分除外説
クレーム解釈の手法として、以下の2通りの考え方があったらしい。
(1)クレームに含まれる公知部分を除外して、クレームの字句通りのものに技術的範囲を制限する
(2)クレームに記載されていない要件を付加して技術的範囲を制限する
ただしこれは「キルビー判決」「特許法第104条の3」よりも前の話である。
上記(1)、(2)を読むと、自然と無効理由が含まれる特許なのではないかと想像することになる。

また、関連して「キルビー判決」「特許法第104条の3」に触れておくのが良い。
・キルビー判決
以下は青本からの抜粋。
「特許の無効審決が確定する以前であっても、特許権等の侵害訴訟を審理する裁判所は、審理の結果、当該特許に無効理由が存在することが明らかであると認められるときは、その特許権に基づく差止め・損害賠償等の請求は、特段の事情がない限り、権利の濫用に当たり許されない旨判示し、特許権に基づく差止め・損害賠償等の請求を訴訟物とする侵害訴訟における理由中の判断において無効理由の存在の明白性を判断する限度において、特許の無効理由の存否に関する裁判所の間接的・相対的な判断の余地を例外的に承認した。」
これを踏まえ、平成16年改正において、特許法104条の3が追加されることとなる。

以上に記載した流れを考えると、訴訟という観点においては、現在においては本事件のように裁判所が判断する可能性は低いのではないかと思われる。すなわち、まずは特許の有効無効について審判で争い、そのうえで侵害の有無を判断するという流れになるのではないだろうか。
一方、特許明細書を作成するという観点で本事件を見ると、しっかりした権利を得るためには、クレームに記載された語句の詳細な説明が明細書に記載されている必要があったのではないかと考える。図面の記載のみから特許請求の範囲を解釈することは、特許法70条2項の記載を考えても無理があると思われる。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

インクタンク事件(H18.1.31 知財高裁 平成17年(ネ)10021) [判例]

「インクタンク事件」と称する事件は多数存在するが、タイトルのカッコ書きを検索すれば様々な情報を得ることができる。

要するに、インクジェットプリンタのインクカートリッジのインクを詰めなおして販売する行為が特許権の侵害に当たるか否かが問題となり、特許権の消尽とはどういう定義に基づくものかが争点となったものである。
特許権の消尽については、他にBBS事件が非常に重要な判例である。
いずれも検索すれば多くの情報を得ることができるので、ここではメモ書きに留めておく。

タグ:特許権

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。